検察側は2人のやりとりに続き、「生まれ変わっても、母の子に生まれたい」という被告の供述内容も紹介。東尾裁判官は目を赤くしながら聞き入り、刑務官も涙をこらえてまばたきを繰り返す場面も見られた。検察側は今月5日の論告求刑公判で、「いかなる理由があろうとも尊い人の命を奪うことは許されない」としながらも「母への思いは哀切極まるものがあり、同情の余地がある」と異例とも言える論告を行った。
終始一貫被害者の立場から事実認定を争い真実を解明するのが検察だとしたら、この論告はまさに異例なのだろうなぁと思う。「いかなる理由があろうとも尊い人の命を奪うことは許されない」という軸がゆらぐほどの「現実」があったのだろうか。
執行猶予の判決が下るのであれば、どう社会に復帰できるかが課題だと思う。どこからともなく冷静な議論がはじまっていることを願う。