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  • 身も蓋もない話をできる人がひとりいたら贅沢だろう

    “ほんとう”をことばのオブラートで包んでそっと差し上げて、相手がオブラートをとかして”ほんとう”に気づいてくれるまで待つ、って優しくて成熟したふるまいのようにみえるかもしれないけれど、それは逃避であって、ことばのオブラートに包み込まれたときから”ほんとう”ではなくなる。

    <恐怖していると言うのですね。ですが、恐怖と自己愛はその根が似通っているのではないでしょうか? 両方に共通するものは、自分自身への過剰な関心と絶対視です。<<私>>は、多くの物語から恐怖と、恐怖する人間の行動パターンの資料を集めました。結果として見えてきたのは、恐怖する人間が自分勝手になり、自己の保全を最上位に置くようになることでした。恐怖する人間からは外界が消失して、第一基準が自分自身になります。それは、自己愛のもっとも深い陶酔と極めて似通っていると思えるのです>

    “あなたのための物語 (ハヤカワ文庫JA)” 長谷 敏司 P.251

    “ほんとう”ってうっかりすれば身も蓋もない事象であって、それを説明するためのことばの量は思っているより少ないと思う。

    大乗は空であり、生活の中で大乗でいられる虚構をつかみとろうした人は、天に向かって吐いたツバのゆくえを体感している。それがわからない人は、他者に向けて矢を放つ。その人にとって、放った矢は二度と自分のもとへもどってこない。

    他者に向けて放った矢が、やがて自分の胸を突き刺し自分を殺してしまうから、大乗になんてなれるわけないし、なりたくない。他者に放った矢で自分を殺せる人は、”ほんとう”をすくいとっている。

    周りで起こっていることは複雑だから、膨大な情報量を記述しなければならない。記述された膨大な情報量をいちいち読んでいられないから、ぼくは相手の表情から何かを感じとる。

    相手を見ずに声だけに集中して聴く。ぼくは視覚情報にかなり依存している。

    梅田の地下街を歩いて、正面からやってくる人とすれちがうとき、相手の目や顔を見ずに足元だけを見ていれば、ぶつからない。

    “ほんとう”に気づくために見なければならない”こと”を見ず、見たいものだけを選んで見ている。あるいは無意識に受動的に見ている。

    この先ぼくがしなければならない”こと”を、思い悩む必要もなく、ごく短い単語で記述できるし、実際やってみたら、身も蓋もない話になる。その身も蓋もない話を自分ひとりで受けとめられないから、「何か」へ逃げ込む。

    身も蓋もないってとても大切なやすらぎだと思う。たぶん、きわめて激しくて、気持ちはゆさぶられ、嫌な思いもしなければならないかもしれないけれど、<私>を育てるためには欠かせない肥料なんだと思う。

    でも、その肥料はひとりでまけない。

    身も蓋もない話をできる人が、ひとりいたら贅沢だろう。だけど、その贅沢はなんとしてでも手に入れたいね。いつ手に入れられるだろう。決まっているのにどこかにいるかわからない。

    You are everythingなんて身も蓋もない気持ちだよ。

    この気持ちをオブラートに包まずに”そのまま”脳へ直接的に伝達できるぐらい、「交われる」人がいたら、生活は甘美で戦慄するだろう。

  • 冬至

    2010.12.22 曇

    二十四節気のひとつ。第六十四候の乃東生。あらゆる草木が枯れ果てるも太陽は冬至を境に力を再生して春が訪れる。体感的にはまだ早い、だけど春は訪れる。待ちわびる。情景的に書けば一年でいちばん昼が短く、夜の長い時。これから日脚が伸びていく。子供の科学的に書けば、太陽黄経が270度のときで北半球では太陽の南中高度が最も低い。僕は前者の方がわかりやすいから文系だな。

    「○ん○ん」がつく食べ物を七種食すとよいとされる。『南京・人参・蓮根・銀杏・金柑・寒天・温飩』、旬のやさいは蓮根。極楽の根太。ゆで湯に酢を落とすと色よし。風物詩は柚子湯。いまでは動物も目を閉じ湯につかってうっとりしておる。

    午前中、アルバイトの不足資料が送られてきたので残りの1%を進めて仕上げた。データを送信。午後からO先生のサイトを仕上げていく。なんとか年内にアップしたいなあ。持てる力を出せたなあ。でもやればやるほどまだやりたりない感が増幅。どこかで適当な折り合いをつけてまずはリニューアルせんとなあ。

    田中秀臣先生のはてなに「空求人」問題が掲載されていた。以前、ここでも紹介した問題。ハローワークの空求人は5〜6年前からあったらしい。今でもハロワへ行けば見かける(原因を直接ハロワの人に尋ねられないから裏取りできないけど)。求人を出しながらいつまでたっても実際には採用しない企業は少なからず存在する、という周囲は感づいている。補助金目当て、あるいはハロワの人が求職を増やす画策とか、いろんな「仮説」があるみたい。

    ラジオで HIRO T (だったと思う)が「朝、目覚めてから布団を出るまでの全国平均は13.3分」って紹介していた。ウェザーニュースのアンケート結果だって。最も布団を早く出るのは徳島県と宮崎の11.0分(都道府県別)。次いで山口県、福井県、奈良県と続く。傾向は西日本が早く北日本が遅い。でもワースト三位はすべて西日本。

    僕は5分ぐらいかな。この時期だと目を覚まして即起きはキケン。布団の中で手足をグッパグッパ、両腕を天井へむけてあげる。血液を送り出してゆっくり起きる。だから5分。

    ちなみに朝起きてから家を出るまでの男女別の時間も調べたとの由。全国平均は女性87.2分、男性59.9分。男性の最短は佐賀県の47.1分、女性の最長は鳥取県の99.1分。

    僕はだいたい90分。理由は○んこ。「一定時間○んこができなければ強烈な恐怖感に襲われて乗り物に乗れない症状」と勝手に名付けている(程度は知らない)。トイレのないバスは30分以上乗れない。昔、通勤で乗っていた京阪特急はマイッタ。当時は京橋から七条までノンストップ。気が気でなかった。車の旅行は家族とだけOK。友人や知人とはNG。すべて断っている。まぁ、20年ぐらいこの状態とつきあってきたのでツライとかシンドイとかはない、幸いに。

    夜、クリミナル・マインドを視ていたらワーズワースの詩を聞いた。何度も視ているエピソードなのに気づいていなかった。僕は気に入った映画やドラマを何回、何十回と視る悪癖を持っている。

    Though nothing can bring back the hour of splendor in the grass, of glory in the flower, we will grieve not. Rather find strength in what remains behind. – “Splendor in the Grass” William Wordsworth

    クリミナル・マインドの訳は

    あの草原の輝きや草花の栄光が帰らなくても嘆くのは止そう 残された物の中に力を見出すのだ かつてのあのまばゆい輝きが今や永遠に奪われても 例え二度と戻らなくても – “草花の栄光”

    ウィリアム・ワーズワースで好きな詩は、『発想の転換をこそ』(『イギリス名詩選 (岩波文庫)』 岩波書店)。一部を引用すると、「君の本を捨てるのだ! 立て、立ち上がれ、自然には本に書かれている以上の叡智があるぞ!」って内容が続いた後に

    自然は、人間の精神と心象を浄める
    無限の富を貯えた宝庫なのだ。
    その健康な姿を通して、知恵が脈々と迸り出、
    その快活な姿を通して、真理が脈々と迸り出ている。

    春の緑の森の一瞥がもたらす感動は、
    すべての賢者以上に、人間について、
    人間の善と悪という倫理の問題について、
    我々にさまざまなことを教えてくれる。

    自然が与えてくれる教訓は快く胸をうつ。
    我々の小賢しい知性ときたら、
    事物の美しい姿を台なしにしてしまうだけだ、ー

    『イギリス名詩選 (岩波文庫)』 岩波書店 P.155

    鳥は深遠な聖職者、万象の光輝燦然たる世界。自宅から数分歩けば至る所に聖職者はいるし世界はある。ただし僕はそれらに気づいていない。僕は気づくよりも分析してしまい対象を扼殺している。

  • 巣ごもり

    2009.04.25 雨

    週末は一日雨。久しぶりでは。巣ごもりに終始。ここぞとばかりサーバーのメインテナンスやブログのコードを見直す。『獄中記 (岩波現代文庫)』 佐藤 優 を一気に読み進める。

    パンデミックか否か。報道が錯綜している。新聞は官僚の発表をそのまま報じていて、なるべく冷静に努めようとしている気配。見方を変えれば、呑気とも。ブロゴスフィアでは勇み足とはいえ、専門家が微に入り細をうがつテキストをアップしている。読者の受け止め方をコントロールできないから、パニックは読む方の心理が反映されて引き起こされるのかと再認識。

  • 齟齬を視覚化

    2009.04.24 晴れ。18℃ほどあったように思うけど、体感は少し寒い。

    大阪へ。F先生とミーティング。何を優先しなければならないか。何をコントロールできて何をコントロールできないか。イベントのためのイベント、楽しいだけの行事は求められていない。経営者と周囲の齟齬を視覚化できるか。さらに言語化しなければ。

    人から人へ感染する新型の豚インフルエンザが発見されたらしい。メキシコで60人以上死んでいる。CDCは警告を発している。パンデミックになるのかどうか。慌てず慎重に。自分は何をしなければならないのか、どのような情報を収集しなければならないのか。注目すべきことは何か。ちゃんと分類しよう。

  • ようじからエイズウイルス

    定点観測。北京五輪を現地で観戦されるご予定のかたはご注意を(と思います)。

    YOMIURI ONLINE: 回収紙をナプキンに、ようじ再使用も…中国紙報道

    同紙によると、規定では、紙ナプキンにはいかなる回収紙も使ってはならないが、実際には、低品質のナプキンに回収したゴミを漂白したものが流用されていた。製紙工場に10年勤めた男性は、「原料の中には、使用済みの生理用ナプキンや病院が廃棄したガーゼもある」と証言。恐ろしいのは色つきの紙ナプキンで、漂白剤すら使わず、ゴミを着色してごまかしただけのものがあり、大腸菌や結核菌、肝炎ウイルスなどが検出されたという。

    本邦には基準があるから”あきれる”のであって、基準がない人には、これが標準。そのズレが埋まる気配はない。さらにおそろしい事態に。

    低価格のつまようじも、状況は同じ。海南省海口市で昨年、広東省から購入した大量の「回収ようじ」が見つかった。レストランやゴミ捨て場から回収したようじを水につけてよごれを落とし、包装し直しただけで、この種のようじからは大腸菌や結核菌以外にエイズウイルスまで検出されたという。これらの紙ナプキン、ようじが輸出されていたかどうかは不明。また、使い捨てのプラスチックのはしやスプーンなどの食器を、不十分な消毒を施しただけで繰り返し使うレストランもあるという。

    定点観測でふれているように、「食品」だけではないのですね。とりあえず、どう対処するか。

    フードトラップ 食品に仕掛けられた至福の罠

  • 世界へ配信されます

    いじめ動画流出、加害生徒も広がりに驚き 「プロフ」が発端

    この動画が第3者によって一般の動画投稿サイトに投稿され、掲示板「2ちゃんねる」などで話題になった。その後、学校に「取材」と称してかけた電話を録音し、ネットでそのやりとりを流す者が現れたり、掲示板に「学校に集団で押しかけよう」とする呼びかけが書き込まれたり、予期せぬ事態に発展した。

    いじめている様子を携帯電話の動画撮影機能で録画して「インターネット」にアップしたら、まさかその動画が世界へ配信されるなんて、さらに、その後の広がりに加害者自身も驚いた、らしい。

    「想像力の欠如」や「予測する能力が貧困」など批判できるだろうけど、なにより、「インターネット」の仕組みを理解してなさそうなところにチト吃驚した。「自分以外半径○○メートルの空間」はあちら側で通用しない。でも、SNSがリリースされて以降からか、「閉ざされた空間」みたいな意識が芽生え始めたのか。

    それとも列車の感覚がリアルからバーチャルへもちこまれたか。4人の乗客が列車にのってシートに座った瞬間、そこは「世間」と切り離される。1人で座っでも「区切り」がある。

    ダイアルアップのころ、パソコンだけあちら側につながった。マトリックスのように「進入」の儀式があった。「ああ、今からネットにつながるなぁ」という意識が一瞬頭にうかび、それから「時間」を気にしながわら渡り歩く。「現実」の時間が「仮想」の世界へ持ち込まれ、限られた「空間」に身をおく。

    今は違う。「儀式」がなくなり、「現実」の時間は消失し、「空間」が広がりつつある。「境目」を自覚する間もなく、突入する。パソコンだけでなく、携帯電話、PDA、ゲーム、身の回りの物質がタンクに連絡せずにつながる。

    大人が子供に伝えることはそんなへんじゃないかなぁと愚考。

    いじめの構造 (新潮新書 (219))

    いじめの構造

  • 広範囲薬剤耐性って

    なんだか不気味だなぁ。門外漢なので「こわい」というよりも、どう対処するのかと思ってしまう。イタチごっこも含んでいるのかな。

    YOMIURI ONLINE: あらゆる抗菌剤が効かない結核菌、イタリアなどで検出

    感染拡大が世界で懸念されている「広範囲薬剤耐性」(XDR)の結核菌がさらに強力になり、すべての抗菌剤が効かなくなったタイプがイタリアなどで検出されたことがわかった。[…]イタリアの患者は女性2人。菌は最初から多数の抗菌剤に耐性を持っていたが、結核専門でない医療機関で様々な抗菌剤を投与され、次第にすべての抗菌剤に対する耐性がついたらしい。2人とも2003年に死亡したことが、欧州の専門誌で先月、報告された。

    抗生物質を使いすぎているような気も、日本は。

    H5N1―強毒性新型インフルエンザウイルス日本上陸のシナリオ

    H5N1―強毒性新型インフルエンザウイルス日本上陸のシナリオ

  • そらそうだわな

    はやくから報道陣に質問されていた。そのたび「絶対ナイ」と否定していた。昨日の記者会見で、「私のは関わっていないと」と言いかけて、「私は関与していない」と否定していた。一瞬、「なんか、助詞の使い方がおかしいなぁ」と訝った。まぁ、あれだけ「紹介」していて「関与はない」と言われても鼻で笑うしかなくあとは事態を見守りましょう。

    iza: 枚方市長、強制捜査へ、府議ら2人逮捕

    大阪府枚方市発注の清掃工場建設工事をめぐる官製談合事件で、大阪地検特捜部は4日、談合に関与した疑いが強まったとして、競売入札妨害(談合)容疑で、近く中司宏市長(51)に対し強制捜査に乗り出す方針を固めた。府警警部補、平原幸史郎容疑者(47)=同容疑で逮捕=らから伝えられたゼネコン側の意向を了承、副市長の小堀隆恒容疑者(60)=同=に指示を与えていた疑いが浮上。特捜部は、官製談合の全容解明に向け強制捜査が不可欠と判断したもようだ。

    追記
    結局、逮捕。あっけない。

    僕、コレで市長辞めました!―和歌山汚職事件の真相

    僕、コレで市長辞めました!―和歌山汚職事件の真相

  • 捕まるときの往生際

    枚方の官製談合事件で逮捕された業者が、大阪府議は3000万円受領したと供述したらしい。この時点で府議の名前はふせられていた。

    大阪府枚方(ひらかた)市発注の清掃工場建設を巡る官製談合事件で、逮捕された兵庫県西宮市の建設会社「羽衣組」社長・松山武仁容疑者(65)が、大阪地検特捜部の調べに対し、大手ゼネコン大林組から受け取った3000万円を、当時枚方市議だった府議(49)に渡したことを認める供述を始めていたことがわかった。

    一夜明けて、府議を競売入札妨害容疑で逮捕された。ひっくりかえりそうになるのをこらえて読むと、あらためて「往生際って何だ」を首をかしげる。

    大阪府枚方市発注の清掃工場を巡る官製談合事件で、大阪地検特捜部は4日、府議・初田豊三郎容疑者(49)を競売入札妨害(談合)容疑で逮捕した。

    さてここから、昨日の記事では、

    読売新聞の取材に対し、府議は「森井容疑者から受注を依頼されたことはなく、金銭の授受も一切、ない」などと話していた。

    とある。逮捕後の供述が報道されていないし、起訴も裁判もまだなので見守るしかないけど、もし認めたら、「一切、ない」は何なんだと思う。

    生駒のときも同様、企業の不祥事でも見かけるが、もう少し凜とした往生際をふるまえないか。塀の上を綱渡りしていたわけで。それ自体、悪いわけじゃなかろう。清濁併せて飲む器量も必要かと。

    ただ、その塀の上に「手」がのびてきたら、外側から内側に落ちたくないから戦うだろ。でも、その前に「構え」があると思う。

  • 風邪薬に中国産毒性物質混入

    パナマで365人が原因不明の死亡。

    The kidneys fail first. Then the central nervous system begins to misfire. Paralysis spreads, making breathing difficult, then often impossible without assistance. In the end, most victims die.

    via: NYT – From China to Panama, a Trail of Poisoned Medicine

    米国の派遣された医療チームが解析した結果、風邪薬に使用していたシロップに毒性物質ディエチレン・グリコールが混入されていた。

    日本語でも詳細を。

    当初、パナマ当局が風邪薬の材料を調達する際、シロップのビンに記されていたのは、せき止め薬や解熱剤によく使用される「グリセリン」だった。しかし、グリセリンは価格が高いため、一部の悪徳業者らが、価格が半分程度の産業用「ディエチレン・グリコール」を使用することがあるという。

    via: 中国産毒性物質、風邪薬として売られていた

    殺人 👿